和風テイストを曲に取り入れたい!ポピュラーな和楽器をご紹介

時折 J-POP だけでなく海外アーティストの曲にも取り入れられる和楽器。 伝統的な楽器と、現代の楽曲のコラボレーションってかっこいいですよね。 とはいえ、伝統的な楽器は直接目にする機会は少ないため、どんな楽器が使われているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。 この記事では、ポピュラーな和楽器を弦楽器、打楽器、管楽器に分けて紹介。 和風テイストを曲に取り入れてみたい方、必見です!

Nami
2025-11-079min read

弦楽器

箏(こと)

箏は元々中国(当時は唐)の楽器で、日本には奈良時代(710〜794年)に伝わりました。初めは雅楽で演奏され、貴族の楽器とされていましたが、室町時代になると一般層でも演奏されるようになったとされています。

箏で演奏する曲のことを「箏曲」といいますが、演奏する時の姿勢や使用する爪の違いなどで、生田流と山田流の2つの流派に分かれています。

箏は空洞のボディに13本の弦が貼られており、親指、人差し指、中指に「爪」を着けて弦を弾いて演奏する楽器です。
また、弦の下には柱(じ)という支柱が使われており、この柱を動かすことによって音程を作ります。

弦を弾いた後に弦を引っ張ることで音色に変化をつける引き色、隣り合う2つの弦を中指でほぼ同時に鳴らすかき爪、弦を弾いた直後に弦を押すことで音色に変化をつける後押し...など、様々な奏法があります。

ちなみに非常に似ていて混合しやすい楽器として「琴」が挙げられるでしょう。「琴」と「箏」は別物の楽器です。その違いとして、「琴」は主に7弦のものを指し、また、柱が存在しません。

三味線(しゃみせん)

三味線は、室町時代に中国から琉球王国に伝わり「三線」として広まりました。その後、戦国時代に琉球王国から日本に伝わり、日本に合わせて変化を遂げていったとされます。

木材でできた胴に動物の皮が貼られており、太鼓のように音が反響する構造を持っています。この上に3本の弦が貼られており、左手で弦を押さえて音高を作り、右手に持った撥(ばち)でその弦を弾くことで音を奏でる楽器です。

三味線には大きさによって細棹(ほそざお)、中棹(ちゅうざお)、太棹(ふとざお)があり、この大きさによって演奏する曲のジャンルが分かれています。

三味線は落語などの寄席囃子や、歌舞伎、阿波踊りなどでの演奏に使用されています。

弦に対して撥を上から当て音を鳴らすのが基本的な弾き方です。その他にも、下から弦を掬い上げるようにして撥を弦に当てる「スクイ」や、左手で弦を弾いて音を出す「はじき」などの奏法があります。

琵琶(びわ)

琵琶は、奈良時代に中国から伝わってきた楽器です。元々はペルシャのバルバドという楽器で、この楽器の派生には他にリュートやギターなどがあります。

琵琶は元々雅楽でリズムを担う楽器として使用されたり、また「盲僧琵琶(もうそうびわ)」と言って、盲目の僧侶がお経を唱える際に使用する宗教音楽として使用されていました。
日本では古くから伝わる怪談話『耳なし芳一』に出てくる楽器としても知られており、この物語の主人公である琵琶法師、芳一も盲僧琵琶の奏者です。

卵形の胴に4本の弦が貼られており、ギターでいうフレットのような役割をする柱がついています。弦を指で押さえながら音高を作り、右手で撥や指を使用して演奏します。

右手の撥を下げて弦を鳴らすのが、基本的な演奏方法です。
その他、下から弦を弾く「返し撥」、弦をビブラートさせる「揺らし」などの奏法があります。

また琵琶にも柱がありますが、数が4つと少ないため、弦を上に押し上げて(ギターのチョーキングのような)音程のバリエーションをつける「押し」という奏法もあります。

胡弓(こきゅう)

胡弓の歴史はこれまでご紹介した楽器よりも比較的新しく、江戸時代初期頃とされています。
この楽器は文献があまり残されておらず、日本に伝わってきた背景には様々諸説があるものの、明確なルーツは不明です。

三味線、箏と共に演奏されることが多く、これらの楽器で演奏される曲は「三曲合奏」と呼ばれています。しかし、明治時代以降になると、尺八の人気が高まり、胡弓の登場回数は減っていったとされます。

楽器の構造や材質は三味線に非常に似ていますが、三味線よりも小ぶりです。
三味線は撥を使って演奏しますが、胡弓は弓で弦を擦って演奏します。三味線はギター、胡弓はバイオリン...のようなイメージでしょうか。
また、胡弓は全部で3本の弦があり、それぞれ1の糸、2の系、3の糸と呼びます。

弾く糸によって、弓の角度を変えるのではなく、胴自体を動かして演奏をします。

打楽器

鼓(つづみ)

鼓は締め太鼓の一種です。
インドに源流があるとされており、その後中国にわたり独自の変化を遂げ、日本には飛鳥時代〜奈良時代頃に伝わりました。

鼓には主に小鼓と大鼓があります。
能で使われる音楽は笛と小鼓、大鼓、太鼓といった編成になっており、これらを「四拍子」といいます。

鼓はくびれた形状で、表皮と呼ばれる太鼓の表面に調べ緒と呼ばれる縄が通されており、この縄を引っ張って太鼓の張力を変えることで、音色に変化をつける仕組みです。能楽や歌舞伎、長唄などで演奏されます。

叩く際の調べ緒の調整と、叩き方や叩く場所によって音の変化があり、柔らかい音は乙の音、高い音は甲の音と分けられます。音色の違いから「ポ」「プ」「タ」「チ」の4つで表されます。

ちなみに、よく耳にする「いよ〜ポン!」は乙の音です。

長胴太鼓

長胴太鼓は、和太鼓の中でも口径より胴が長い形状の太鼓です。寺院や神社、祭りなどで用いられることが多く、最もよく目にする和太鼓のひとつです。宮太鼓とも呼ばれます。

一本の木をくり抜いて胴を作り、その上に牛の皮を張り、鋲(びょう)で打ち付けて作られます。
大きな外観にふさわしく、力強い音が鳴り響き、遠くまで振動が伝わります。盆踊りでもよく耳にする音です。

演奏には撥が用いられ、面を叩いて演奏します。また、時には鋲の部分を叩くこともあります。
盆踊りでよく耳にする「ドンドンドン、カラカッカ、ドドンドドン」というやつですね。

当り鉦(あたりがね)

主に祭囃子で使われる楽器です。
祭囃子の中でも特に歴史の古い京都の祇園囃子で使用されており、この祇園囃子は他の地域のお囃子に影響を与えています。

祇園囃子を表現する「コンチキチン」は、この当り鉦と太鼓が奏でています。
当り鉦は金属でできたお皿のような形になっており、「しゅもく」と呼ばれる撥を用いて音を出します。

演奏方法は、紐を持って吊るしながら打つ、もしくは直接握って打つ2種類あります。
握って演奏する場合は、時にはミュートのようにして打ったり、音を響かせたりなど、手で触れる面で余韻を調整して演奏されます。

また、お囃子は主に太鼓が1人、小太鼓が2人、笛が1人で構成されており、それらを4つを助けるという意味で「四助」とも呼ばれます。

管楽器

篠笛

篠笛は竹で作られた横笛です。
起源ははっきりしていませんが、中国の「龍笛」が伝わり、日本で形を変えたと考えられています。平安時代にはすでに使用されていた記録があります。

篠笛には、古典芸能で用いられる「古典調」と、民俗芸能で用いられる「唄用篠笛」があります。長唄や歌舞伎などで演奏され、幅広く使われてきました。特に祭囃子では当り鉦や太鼓と共に使用され、日本人にとって馴染みのある音です。

基本的な吹き方は、笛をフルートのように横に構え、穴に空気を送ることで音が鳴る仕組みです。
奏法には、指を瞬時に離して元に戻すことで音を区切る「指打ち」などがあります。

尺八

尺八は、奈良時代に中国から伝わった縦笛です。もともとは雅楽の演奏に用いられていましたが、江戸時代になると、普化宗という禅宗の修行僧「虚無僧」が修行の際に吹くようになりました。このとき演奏された曲は「普化尺八」と呼ばれ、現在の尺八の起源とされています。

宗教楽器であったため、一般の人々が演奏することは長らく禁じられていましたが、明治時代にその風潮は廃れ、音楽を楽しむための楽器として広く演奏されるようになりました。

尺八には一尺八寸(約54cm)をはじめ、一尺六寸管など複数の大きさがありますが、最も一般的なのは名前の由来でもある一尺八寸のものです。

奏法には、指を素早くずらして音程を変える「揺る」や、穴を一瞬押さえてすぐに離す「打つ」などがあります。

和楽器を取り入れたかっこいい曲

藤井 風 『まつり』

藤井風らしい現代的なサウンドと「まつり」というテーマで和を感じるコラボレーション。
篠笛は玉置ひかりという篠笛奏者の方が演奏しています。

和楽器バンド / 千本桜

ギターとドラム、ベースというバンド楽器に加えて、箏と三味線、尺八、さらに和太鼓まで取り入れたバンドです。また、ボーカルは詩吟師範であり、その力強い歌声と和の世界観がかっこいいバンドです。

緑黄色社会『夜祭音頭』

緑黄色社会が開催した対バンイベントライブ「緑黄色夜祭」のために作ったという楽曲。

三味線の音色が取り入れられた、和の雰囲気漂うアレンジが特徴です。ライブで盛り上がること間違いなしの、緑黄色“野菜”をテーマにしたユーモアあふれる一曲です。

MONKEY MAJIK + 吉田兄弟『Change』

吉田兄弟とは、兄弟で活動する津軽三味線演奏者・アーティストです。

伝統的な演奏だけではなく、ポップスのアーティストとも多くのコラボレーションをしており、幅広く三味線の音を継承しています。

Linkin Park『Nobody's Listening』

サンプリングされた尺八の音を使用しています。
Linkin Park との世界観と調和しています。


まとめ

以上、今回は代表的な和楽器をご紹介しました。
和楽器が使われる音楽には、祭囃子や雅楽、歌舞伎音楽、宗教音楽など、様々なジャンルがあります。現代ではピアノやギターなどの西洋楽器の方が、身近な存在になってきていますが、お正月の音楽や祭囃子など、ふとした瞬間に日本の古き良き音楽を耳にすることがあります。
こうした音楽で使われる楽器は、やはり日本人として大切にしていきたい魅力があるなと感じました。

また、伝統的な和楽器は、現代の音楽に取り入れることで新たな魅力を生み出すことも可能です。ぜひ皆さんもポップス × 和楽器を取り入れてみてはいかがでしょうか?

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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