楽器演奏を依頼する場面とは
楽器演奏を依頼する場面は、大きく分けて「レコーディングミュージシャン」として依頼したい場合と、「ライブイベントのサポートミュージシャン」として依頼したい場合の2パターンがあります。
「レコーディングミュージシャン」
アーティストがレコーディングする際の楽曲演奏や、依頼主が制作中の曲に取り入れる音源としての録音依頼など。
既存の音源ではなく、新たに演奏をしたギターやドラムなどの音を取り入れたい場合。
「ライブイベントのサポートミュージシャン」
アイドルのバックバンド演奏や、バンドのサポートメンバーとして募集したい場合。その他会社のパーティーや結婚式などのイベントで生演奏を依頼したい場合。
依頼先を見つけるには
依頼先を探す方法として、知り合いのミュージシャンやライブハウスの店長さんに相談したり、知人に紹介してもらう方法などがあります。
近年では楽器演奏を依頼したい人とスキルを提供したい人のマッチングサービスもあるので、活用するのも一つの手段でしょう。
音楽のスキルシェアサービス ONLIVE Studio は、ミュージシャン、プロデューサー、アレンジャー、エンジニアなど様々な音楽制作のプロフェッショナルと依頼者がマッチングできるサービスです。独自の審査に通過した人のみがプロフェッショナルとして登録できるため、安心した取引が可能です。ぜひご活用ください。
上記以外にも、以下の記事では依頼先を見つける方法8選をご紹介しています。
ご自身にあった探し方を見つけられますので、依頼先の探し方についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
楽器演奏依頼の費用相場は?
楽器演奏依頼をする際の費用相場はありません。
その理由は、依頼内容のボリュームや依頼する人の技量などにより価格が大きく左右するためです。
依頼する際は相手の拘束時間や年齢、作業内容などを考慮し、失礼のない金額を提示するのが良いしょう。
そうは言っても、「大まかで良いから費用を知りたい!」という方もいますよね。
参考値として演奏依頼の費用感をご紹介します。
メジャメーカーがよく利用する方法の一つとして、楽器演奏者をコーディネート(斡旋)する会社を利用して依頼先を探す方法があります。そのような会社からコーディネートされたミュージシャンへの依頼時の費用相場は一日4万円前後からです。依頼内容や依頼範囲、依頼するミュージシャンによって大きく価格が異なりますが、コーディネータに依頼するとミュージシャンの品質が担保されやすいです。
一方、個人でよく利用されるスキルシェアリングサービスを利用した場合、演奏録音であると、千円前後で承っているミュージシャンも多くいます。
ここでの注意点としては、この価格でミュージシャンの技量はどれくらいで、作業内容はどれくらいのものを想定しているかを把握して依頼するということです。
プロフィール欄やポートフォリオなど、時にはメッセージをやり取りして確認しましょう。
上記の通り、依頼先や依頼条件によって価格が大きく変わってくることが分かったと思います。
自分が依頼したい人はいくらであれば自分のお願いしたい内容が実現できるかを把握することが大切です。
依頼前に確認しておきたいこと
依頼したいミュージシャンが決まり、いざ依頼するとなった際に事前に確認しておきたいことがいくつかあります。
依頼先とのトラブルを避けるために、ぜひご確認ください。
スケジュールを明確化させる
依頼しようと考えているプロジェクトの期間を入念に計画を立て、作業依頼をしたい期間を伝えた上で受注してもらえるか確認しましょう。
依頼された側のミュージシャンは依頼されたことに時間を投資することになります。そのため、スケジュール感や作業時間が想定しやすいようにしておくことが大切です。
納品日はいつか、コンサート期間はどれくらいか、リハーサルは何回あるかなど、スケジュールを出来るだけ詳細に共有すると良いでしょう。
報酬について明確化させる
ミュージシャンへの報酬は、買取で一回演奏していくらと言う人もいれば、「売上の◯%」のように印税形式になることもあります。依頼先がどのような条件で受注してくれるか確認しましょう。
実態として、ミュージシャンの報酬は買取の場合が多いのですが、依頼先によって条件は異なります。依頼の相談をする際には、条件確認をしましょう。
依頼範囲を明確化させる
演奏以外の作業もお願いしたい場合は、どこまで依頼先にやって欲しいのかを明確化し、事前に伝えておきましょう。
イベント出演の際にバンマスをお願いしたり、ギターの録音を依頼していた人に対してコーラスパートの歌唱をお願いするなどのような行為は、依頼先からすると想定していた作業の範囲外になってしまいます。相手の作業時間も増えてしまうため、頼みたい場合は依頼時に伝えておくことが大切です。
ミュージシャンとの交流が深くなってくると、なかには良い音楽を作りたいと思っている仲間として相談にのってくれる方もいます。そのような場合でも「やってもらえるのは当たり前」と考えずに、相手を気遣う気持ちを持って相談しましょう。
また、納品後の修正対応にも時間を必要とするので、修正対応についても事前に相談しておくのが良いです。
納品物を明確化させる
譜面を起こして PDF 化したデータが欲しい、録音をした音を WAVE ファイルで納品して欲しいなど、何のデータをどのファイル形式で納品して欲しいかを明確に伝えましょう。
共有する素材の確認
ミュージシャンが依頼された作業を完了する上で必要なものが何か確認しましょう。依頼時に最低限共有すべきものを次の章でご紹介しているので、合わせてご確認下さい。
その他ではコード譜、過去のライブ映像データ、衣装、共演するミュージシャンの情報、ライブハウスに設置されている機材など。依頼する内容やミュージシャンによって知っておきたいことも異なるので、どのような素材が必要かを確認しましょう。
細かい情報を共有しておくことは、ミュージシャンのパフォーマンスを最大限に引き出すことにも繋がります。また、あらかじめ基礎的な情報を分かりやすく伝えることで、ミュージシャンがプレイアイデアや練習に費やす時間をできるだけ多く担保でき、より良い音楽をアウトプットできる可能性も広がります。
依頼時に最低限共有すべきもの
先ほどもお伝えしたように、依頼内容や依頼先によって必要なものが異なります。
今回は全てに共通する最低限必要なものを以下にご紹介致します。
音源
演奏してもらいたい曲の音源は必ず共有しましょう。
WAVE や MP3 などのファイル形式でデータを送るのが一般的です。その他楽器ごとにデータをまとめて送る stem データや、MIDI データも合わせて送る場合もあります。
演奏の目的
演奏の目的を伝えましょう。レコーディングの場合は、どんな曲の、どのパートを演奏して欲しいか合わせて伝えます。
イベント出演であれば、イベントの内容や、イベントに来る客層なども合わせて伝えておくと良いです。
スケジュール
スケジュールは出来るだけ細かく共有すると、ミュージシャン側がスケジュール調整をし易くなります。
録音依頼であれば納品日、イベントの演奏依頼であれば、出演日、リハ日などを伝えましょう。
楽曲の情報
演奏する上で必要な楽曲の構成の基礎となる情報。キーや BPM、コード進行、その他譜面、歌詞カードも用意しておきましょう。
演奏する現場の情報
アンプ、ドラムセット、譜面台、ハイチェアやモニターなどの機材や設備関連が現場にあるかどうかを確認し、現場の機材リスト情報として共有しましょう。そのような情報があることで、ミュージシャンが現場での作業を想定しやすくなります。
その他依頼者から頼まれたもの
発注前に上記以外で依頼された側が必要な素材があるか確認し、用意しましょう。
依頼時の注意点!マナーに気をつけよう
依頼可能か確認する
まずは相手が新規の依頼を受け付けているかを確認する必要があります。
知らない人から急に依頼内容の条件のみ送られてきたら、失礼と感じる方もいます。依頼相手が仕事を受注することが可能か、ワンクッションを入れてから本題に入るようにしましょう。
依頼するときの姿勢に気をつける
依頼主と依頼先には上下関係はありません。
取引きでは、お金を対価として依頼主のできないことをプロミュージシャンがサービスとして提供してくれます。自分ができないことを頼んでいるからこそ、相談も丁寧にしましょう。
このような謙虚な姿勢が、気持ちの良い取引につながり、より良い音楽を作るために重要となります。
発注後に予定していた作業以上を頼まない
予定していた作業以上のことを発注した後に頼むことはやめましょう。
仕事を依頼するということは、その人の時間を一定期間拘束することです。ミュージシャンの多くはサラリーマンのような時間制ではなく案件ごとに稼働しているため、スケジュール管理が大切になります。追加で発注すると想定していた時間が変わり、スケジュールが崩れてしまう可能性があるので避けましょう。
どうしてもお願いしたい場合は、報酬を上乗せするなどして対応してもらえるかを相談するのが良いです。
サービス利用後の直契約はNG
ココナラや ONLIVE Studio などのサービスを利用して受発注を行った場合、手数料の削減を目的として、個人的に契約を持ちかけられることが稀にあります。
ですが、サービスを利用するユーザーに向けてサービス外でのやり取りを禁止していることが多く、個別で契約する事は NG 行為となります。トラブルに繋がるケースもあるため、個別で契約することは避けましょう。
また、人から紹介してもらった場合でも同じです。もう一度お願いしたい場合は紹介者に一言伝えるようにしましょう。
音楽業界はネットワークが大事なので、相手に失礼に当たる行為はしないことが大切です。
まとめ
初めて依頼する場合は「どのように依頼したら良いか分からない」「依頼するのって高そう」など、不安に感じることが多いかと思います。しかし、依頼主もミュージシャンもいい音楽を作りたいと思っている点は同じ。自分が作りたい音楽を追及し、その情熱を持って飛び込めば相談に乗ってくれる人が多いです。
十分なお金が用意できない可能性があっても相談してみるのはタダなので、勉強と思って勇気を出すことが大事です。ただし、相談する際には相手への敬意を忘れずに。
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。
Masato Tashiro
プロフェッショナルとして音楽業界に20年のキャリアを持ち、ライブハウスの店長経験を経て、 2004年にavexに転職。以降、マネージャーとして、アーティストに関わる様々なプロフェッショナルとの業務をこなし、 音楽/映像/ライブ/イベントなどの企画制作、マーケティング戦略など、 音楽業界における様々な制作プロセスに精通している。 現在はコンサルタントとして様々なプロジェクトのサポートを行っている。