ボカロPとは?

「ボカロP」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、その定義や活動内容が曖昧という方もいるのではないでしょうか。 ボカロ曲は今や日本の音楽シーンで大きな影響力を持ち、多くのクリエイターがその分野で活躍しています。 では、ボカロP とは一体どのような存在で、どんな活動をしているのでしょうか? この記事では、ボカロP の定義や、その活動内容について詳しく解説していきます。

Nami
2025-01-105min read

そもそもボカロとは?

ボカロとは、YAMAHA が開発した音声合成技術を使用したソフト「VOCALOID™(ボーカロイド)」の通称です。また、一般的にはそのソフトを使用して作られた楽曲のことを指したり、それらの楽曲を総称して音楽ジャンルとして使用される場合もあります。

VOCALOID には、歌手や声優の声を元に作られた音声バンクがあり、この音声バンクごとにオリジナルのキャラクターが設定されています。
歌詞やメロディーを打ち込むことで、自分のオリジナル曲をそのキャラクターに歌わせることができます。
有名なキャラクターは、初音ミクや鏡音リン・レンなどです。

以降、本記事では次の用語を、VOCALOID=ソフト、ボカロ=音楽ジャンルとして使用します。

ボカロP とは?

ボカロP とは、VOCALOID(およびその他の音声合成ソフト)を使用して楽曲制作を行う作曲家のことです。その誕生は、VOCALOID である初音ミクが普及し始めた2000年代後半に遡ります。

初音ミクの発売をきっかけに、当時アマチュアミュージシャンや趣味で音楽制作を楽しんでいた人々が、DAW を使って制作したオリジナル楽曲を初音ミクに歌わせ、ニコニコ動画に投稿するというブームが巻き起こりました。
このような活動をする制作者たちは、次第に「ボカロP」と呼ばれるようになっていきます。

ボカロPの「P」は「プロデューサー」を意味し、この表記は、当時人気を博していたアイドルマスターシリーズ、通称「アイマス」というゲームに由来しています。

アイマスは、プレイヤーがプロデューサーとしてアイドルを育成するゲームで、ゲーム内ではユーザー名の後に「P」が付けられて表示されていました。この時期ニコニコ動画では、アイマス関連の動画を二次創作として投稿する「ニコマス」動画も人気を集め、多くのクリエイターが参加していました。

こうした背景に加え、ボカロ曲は当初初音ミクを主体としたキャラクターソングが多く、初音ミクをプロデュースしているような感覚があったため「ボカロP」という呼び名が使われるようになったのです。

このようにして、VOCALOID を使った楽曲制作を行うクリエイターは「ボカロP」として広く認識されるようになりました。

ちなみに、初めてボカロP と呼ばれたのはワンカップP さんという方です。

ボカロP は何をやっている?作曲家との違いは?

ボカロP と通常の作曲家との違いは、ボカロP の場合はボカロ曲に特化した作曲家と言えます。

とはいえ、ボカロP によって様々な制作スタイル、対応ジャンルの幅があるため一概には言えませんが、今回はあくまで傾向として見られる特徴をご紹介したいと思います。

VOCALOID を使用する

ボカロP は、VOCALOID を使って楽曲制作を行うことが最大の特徴です。

制作にあたっては、使用する VOCALOID のキャラクター特性やイメージを考慮することが多く、キャラクター性を反映させた楽曲が作られます。

また、広い音域や早いテンポによる歌唱など、人間が歌唱する楽曲と違い VOCALOID ならではのメロディーラインによる特徴もみられる楽曲が多く存在します。

ボカロ曲を作成

音楽ジャンルとしての「ボカロ」は、EDM やロック、アニソン、HIP-HOP など、さまざまな音楽ジャンルを取り入れた楽曲が数多く存在します。しかし、その中でも「ボカロっぽい」と感じさせる独自性が多く見られる点が特徴です。

例えば、VOCALOID 独自の早いメロディーラインや「リリースカットピアノ」と呼ばれる、ピアノ音源のリリースを短く設定した音の使用が挙げられます。

また、複雑なコード進行やサビでの転調といった工夫も、ボカロ曲でよく用いられる要素と言えるでしょう。

他にも、VOCALOID を用いたロックは「ボカロック」と呼ばれ、通常のロックとは異なる独自のサウンドがあります。

これらの特徴はすべてのボカロ曲に当てはまるわけではありませんが、ボカロというジャンルの個性として、多くの楽曲に取り入れられています。

アーティスト性が高い

通常の作曲家はクライアントの要望に応じて楽曲を提供することが多いですが、ボカロP の場合、自分の好きな音楽や世界観を VOCALOID を通じて発信する、アーティストとしての側面が大きいです。

さらに、楽曲を際立たせるために絵師と呼ばれるクリエイターに依頼して MV のイラストや映像を制作することもあります。

ビジュアル面を含めた総合的な表現を重視している点がボカロP の活動の特徴と言えるでしょう。

活動目的

作曲家はクライアントのニーズに応えるプロフェッショナルとして活動することが多く、特定の歌手やプロジェクトのために楽曲を提供します。

一方、ボカロP は自身の創作意欲や表現を重視したアーティストとして活動する場合が多いです。

このため、ボカロP は「作曲家」であると同時に、クリエイターやアーティストとしての色合いが強いともいえるでしょう。

ボカロPの収入源って?

動画公開サイトからの収入

YouTube の場合、公開した動画の再生回数に応じて、広告収入を得ることができます。

また、「YouTubeコンテンツ収益化サービス」に楽曲を登録していると、自分が作成した楽曲が歌い手にカバーされた場合にその動画の再生回数に応じても収益を得ることが可能です。

その他にも、ニコニコ動画では「クリエイター奨励プログラム」に作品を登録することで、収益化をすることができます。

楽曲提供

ボカロP の中には自分の創作活動の他にも、楽曲提供を行っている方も多いです。特に親和性が高いのは歌い手の方にオリジナルソングの楽曲提供でしょう。

自分が好きな世界観を表現しているボカロP に、オリジナルソングを作ってもらえたらとても嬉しいことですよね。

ONLIVE Studio では様々なボカロP が登録されています。
ボカロ曲以外にも BGM 作成や、アニメやゲームなど、様々な方向性で楽曲提供を行っている方もいます。

「ボカロっぽい曲を使用したい!」「オリジナル楽曲制作を依頼したい」という方は、ぜひご活用ください。

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有名なボカロP

DECO*27(デコ・ニーナ)

1986年生まれ。2008年に活動開始と、VOCALOID が普及してから初期の段階から活躍しており、レジェンド的なボカロP。

2011年には柴咲コウ、TeddyLoid と共に音楽ユニット「galaxias!」を結成し、アルバムをリリースしている。

印象的な言葉遊びや、耳に残るサビが印象的で『ヒバナ feat. 初音ミク』や『モザイクロール』、『ゴーストルール feat. 初音ミク』などの代表曲を残している。

かいりきベア

1988年生まれ。2011年から活動を開始し、同年に投稿した『完全懲悪ロリィタコンプレックス』がスマッシュヒットをし、注目を集める。

これまでに『 ベノム / かいりきベア feat.flower』や『アルカリレットウセイ / かいりきベア feat.初音ミク』など、多くのヒットとなる楽曲を残している。

また、自身の創作活動のみならず、スマホゲーム「#コンパス 戦闘摂理解析システム」や漫画アプリ「GANMA!」とのタイアップで楽曲提供を行うなど、幅広く活動している。

ボカロP 出身の有名アーティスト

有名アーティストの中には、ボカロP として活動していた経歴を持つ人もいます。今回は、過去にボカロP として活動したことがあるアーティストをご紹介します。

n-buna(ヨルシカ)

2012年に『アリストラスト』を投稿し、ボカロP として活動を始める。
当時は16歳だったのだとか。

9作目の『透明エレジー』は100万回再生を記録し、ボカロP としての人気を集めた。

米津玄師

2008年から「ハチ」という名前でボカロP として活動を開始。
『マトリョシカ』や『パンダヒーロー』などの数々のヒット曲を飛ばした。

2012年から本名(米津玄師)で、VOCALOID を用いないアーティスト活動を開始している。

岡崎体育

2008年から「シトキアP」として活動。
その傍ら、ソロで音楽活動をしており、ライブパフォーマンスをきっかけに現在のマネージャーにスカウトされている。

Ayase(YOASOBI)

2018年からボカロPとして活動を開始し、翌年に投稿した『ラストリゾート』が10万回再生を超えたことを皮切りに、次々にヒット曲を生み出す。

また、同年2019年に YOASOBI を結成した。

キタニタツヤ

2014年から「こんにちは谷田さん」という名前でボカロP として活動を開始。

2017年に投稿した『芥の部屋は錆色に沈む』が10万回再生を記録。
同年にキタニタツヤ名義で活動を開始している。


まとめ

以上、今回はボカロP についてご紹介しました。

「ボカロP」という言葉の定義が曖昧だった方も、この記事を通して理解が深まったのではないでしょうか。

ボカロは2000年代以降に登場して以来、ますます人気を集め、現在も国内外で根強い支持を得ています。そして、ボカロP は日本のポップカルチャーを形成する重要な要素の一つとして、多くのクリエイターが活躍し続けています。

今後もボカロP が生み出す作品やその進化に注目していきたいですね。

ちなみに、最近 ONLIVE Studio スタッフが注目しているボカロP は原口沙輔やマサラダ、なきそ、内緒のピアス、読谷あかね...などなどです!

また、ONLIVE Studio スタッフが過去に VOCALOID を使用して作成した楽曲『アゲハ』もおすすめです。ぜひ聞いてみて下さい!

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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