音楽制作もデジタル化が進み、近年ではオンラインで完結することが可能になりました。自宅で必要な楽器の音源を録音し、依頼主に録音データを送るなどといったオンラインでの楽器録音案件は市場にたくさんあります。
しかし、自分の演奏スキルを活かして、オンラインでの録音案件を獲得していきたいと考える方でも、「演奏スキルはあるけど、パソコンが苦手」「音源データを作るために何が必要なの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、オンラインでレコーディング案件を受注するために必要なものを解説。自分のスキルを活かして仕事案件を獲得していきたいと考えている方、ぜひご参考にして下さい。
必要なものは既に持っているけれど仕事のプロセスが分からないという方は、こちらの記事をご覧ください。
案件受注の際に必要なもの
あなたがオンラインで仕事を受注した際、録音した演奏をデジタル化する必要があります。
そのために最低限必要なものを以下に挙げます。
- PC
- DAW
- オーディオインターフェース
- ヘッドフォン
- マイク
- モニタースピーカー(あると良い)
次の章でそれぞれ詳しくご説明します。
PC
パソコンは、音源をデジタル化する上で欠かせないアイテムです。
Mac、Windows どちらでも可能ですが、次章でご紹介する DAW ソフトによっては、どちらかにしか対応していない場合もあります。使用しているパソコンの互換性も考慮してパソコンや DAW ソフトを選ぶと良いでしょう。
また、iPad の場合は DAW メーカーが出しているアプリがありますが、通常のデスクトップ版の DAW よりも使える機能が制限されている場合があるので、自分が行う作業が補えるかを確かめた上で選択しましょう。
DAW ソフト
DAW ( Digital Work Station ) とは、デジタル上で音楽制作を行うために必要な音楽ソフトです。
このソフト上で音源を録音したり、編集したりすることが可能になります。
DAW は様々なメーカーが出しています。以下に代表的な DAW ソフトをご紹介します。
- Cubase( Steinberg )
- Ableton Live( Ableton )
- Studio One( PreSonus )
- FL Studio( Image-Line )
- Logic Pro( Apple )
- Pro Tools( Avid )
音楽制作ソフトにはそれぞれ特徴があり、使用目的によって選択が異なります。
これから始めるのであれば、Logic Pro か Cubase がおすすめです。理由は、利用者が多く情報が豊富であるため、疑問点や問題が起きても解決が容易だからです。ただし、Logic Pro は Mac のみの対応のため、ご注意ください。
また、EDM や Hip-Hop、DJ の作業をする場合は、Ableton Live と相性が良く、多くの人がこのソフトウェアを使用しています。
エンジニアの場合、レコーディングに強みを持っていることから Pro Tools を使用していることが多く、国内外のスタジオでも導入されており「業界の標準 DAW 」とも呼ばれています。
OLS スタッフ使用
- Logic Pro( Apple )
- Ableton Live( Ableton )
- Pro Tools( Avid )
オーディオインターフェイス
オーディオインターフェイスは、音声機器(マイク、楽器、スピーカーなど)をデジタル機器(コンピュータやスマートフォンなど)に接続するための機器で、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能や、デジタル信号をアナログ信号に変換する機能を備えています。
そのため、オーディオインターフェイスを使用することで、音声機器から発信されるアナログ信号をデジタル機器に取り込むことができ、デジタルデータとして扱うことが可能です。
音を取り込む方法には、マイクを接続して録音する方法と、シールドを接続するライン録りの2種類があります。
OLS スタッフ使用
オーディオインターフェイスは、それぞれ特性があるため自分の使い方にあった選択をすると良いでしょう。
- universal audio Apollo Twin X
1958年設立という長い歴史を持ち、プロからも信頼の厚いメーカーである universal audio 。
同メーカーの universal audio Apollo Twin Xは DSP ( Digital Signal Processor )が搭載されており、リバーブなどのプラグインを使用した場合でも、実際に演奏した音と入力される音の時間の誤差であるレイテンシーを抑えることができます。
また、アナログの名機をクオリティ高くモデリングした UAD のプラグインも使用できることから、高い人気を誇っています。
※DSP とは… DSP( Digital Signal Processor )とは、デジタル信号処理を専門に行うプロセッサ。通常、PC の CPU でプラグインの処理を行われますが、その場合はレイテンシーが発生してしまうことがあります。しかし、その処理を専属的に行ってくれる、DSP を利用することでプラグインを使用した場合でもレイテンシーを抑えることができます。専用のプロセッサで処理を行うことにより、デジタル化された音声信号や映像信号などの信号処理を高速かつ効率的に行うことができます。
※レイテンシーとは…レイテンシーとは、実際に演奏した音と、入力される音の時間の誤差です。
また、ドラムの場合はレコーディングの際により多くのマイクが必要となります。その分必要なインプット数も多くなるため、上記でご紹介したものよりもインプット数が多いものを選ぶ必要があります。
ヘッドホン
マイクを使用する録音の場合は必ずヘッドホンが必要です。演奏をクリックや楽曲の音源に合わせて録音する際に、ヘッドホンを使用しないとパソコンから流れる音もマイクが拾ってしまいます。
また、宅録の場合は後述するスピーカーの代わりに、モニターとしてヘッドホンを使用しているケースも多いです。
レコーディングで使用する場合、ミックス時のモニターヘッドホンとして使用する場合、いずれの場合もなるべく音がフラットに聞こえるように調整されたヘッドホンを選ぶことがポイントです。
このようなヘッドホンは音楽や録音された音声を忠実に再現するため、音楽制作や音声録音などの作業において正確な音の評価に繋がります。
その他ヘッドホンを選ぶ際は、有線のものを選びましょう。無線だと、実際に鳴っている音よりも遅れて聞こえる遅延(レイテンシー)が発生してしまう可能性があります。また、ヘッドホンには開放型と密閉型がありますが、開放型は音漏れするので必ず密閉型のものを選択してください。
OLS スタッフ使用
- sony MDR-CD900ST
- audiotechnica ATH-M50
どちらのヘッドフォンも、大抵どのスタジオにも置いてあり、日本においてヘッドフォンのスタンダードとして広く知られています。
マイク
ボーカルやアコースティック楽器はライン録りができないので、必ずマイクが必要となります。
一般的に、録音用にはコンデンサーマイクが適している場合が多いですが、録音する楽器や欲しいサウンド、録音環境などを複合的に加味して選択すると良いでしょう。
マイクの選び方についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
OLS スタッフ使用
先ほどもお伝えしたとおり、マイクの選び方は様々なことを考慮して選択する必要があります。そのため、一概にどのマイクがおすすめとは言い切れません。
そこで、今回は OLS スタッフが使用しているマイクをご紹介いたします。
- Universal Audio Sphere DLX
高性能なマイクロフォン・モデリングシステムが特徴で、38種類にも及ぶ有名なマイクのモデリングがあります。また、専用のプラグインを使用することでマイクのモデリングの切り替えや、指向性の調整など、様々な応用が可能です。
- WARM AUDIO WA-87
有名なコンデンサーマイクの NEUMANN U87 のクローンとして設計されたコンデンサーマイクロフォン。NEUMANN U87 は40万円ほどの価格帯ですが、WARM AUDIO WA-87 は数万円で手に入れることができます。
モニタースピーカー(あると良い)
スピーカーは音源を作成する際に必ず必要というものではありませんが、スピーカーがあることで、より音を正確に確認することができます。
特に録音した音にリバーブなどといったエフェクトをかける場合や、レコーディングしたものをラフミックス( 2mix )をするなどの場合は、音の広がりや定位の確認にモニタースピーカーが適しているので、用意しておいた方が良いでしょう。
ミックスをより精度高く行う場合は、モニタースピーカーのみならず、ヘッドホン、ラジカセ、小型スピーカー、イヤホンなど、様々なスピーカーデバイスで確認し、どのデバイスで聞いても同じ印象になるように調整することでより精度が上がります。
OLS スタッフ使用
- KRK ROKIT
黒のボディに黄色のツィーターが印象的なデザインで、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。創業35年年以上の歴史を持つメーカーのエントリーモデルとして愛されている ROKIT 。
第4世代の G4では DSP が搭載されており、部屋の音響特性を加味して背面の液晶ディスプレイでイコライザーを調整することができます。また、独自開発のドライバーが使用されており、バランスの良い周波数帯域を実現しています。
- YAMAHA HS5
こちらもモニタースピーカーのエントリーモデルとして人気の高いスピーカーです。自宅での設置場所を選ばないコンパクトなサイズですが、そのコンパクトなサイズに反して、バランスのとれた音質を実現しています。
高い解像度と正確な再現性を備えたフラットな音質が特徴で、価格もペアで約3万円程度と手ごろで、全てのバランスが良い製品で私も使用しています。
まとめ
以上、今回はオンラインでレコーディング案件を受注するために必要なものをご紹介しました。
ぜひこの記事を参考にし、音楽家としてのキャリアに活かしてください。
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東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。
Masato Tashiro
プロフェッショナルとして音楽業界に20年のキャリアを持ち、ライブハウスの店長経験を経て、 2004年にavexに転職。以降、マネージャーとして、アーティストに関わる様々なプロフェッショナルとの業務をこなし、 音楽/映像/ライブ/イベントなどの企画制作、マーケティング戦略など、 音楽業界における様々な制作プロセスに精通している。 現在はコンサルタントとして様々なプロジェクトのサポートを行っている。