オーディオインターフェイスとは?必要性、選び方、おすすめ製品を紹介

この記事の読者には、これから DTM を始めようとしている方や、DTM を利用して楽器の録音をしようとお考えの方も多いのではないでしょうか。 スピーカーを使用したり、宅録をするためには、「オーディオインターフェイス」が必要になります。 この記事では、オーディオインターフェイスとは何か、またその必要性から選び方までご紹介します。

Nami
2024-02-147min read

オーディオインターフェイスとは?

  • オーディオ=マイクやスピーカーなどといった音響機器
  • インターフェイス=異なるもの同士を接続するもの

オーディオインターフェイスとは、その名の通りマイクやスピーカーとパソコンを繋ぐ機材です。

多くの音響機器(スピーカーやマイクなど)は、コネクタの形状、入力端子の違いから、パソコンに直接繋ぐことができないため、オーディオインターフェイスが様々な音響機器とパソコンを繋ぐ架け橋のような役割を担っています。
そのため、オーディオインターフェイスは以下のように接続されます。

オーディオインターフェイスを介することで、マイクを通して自分の歌を DAW に取り込んだり、スピーカーを繋げてモニター環境を整えることができます。

また、多くの製品はフォン端子が搭載されており、ギターやシンセサイザーなどの楽器を直接オーディオインターフェイスに接続して録音をすることも可能です。

オーディオインターフェイスでできること

オーディオインターフェイスを使用することで、音楽制作の幅が広がります。以下は、オーディオインターフェイスの主な活用シーンです。

  • マイクを接続して自分の歌を録音
  • スピーカーの使用
  • ギターやベースなどの楽器のライン録音
  • BGM を流しながらの配信
  • 複数の楽器を同時に録音

その他にも、製品によって搭載している機能が異なるため、強みを活かして音質の向上や、音楽制作の幅を広げることが可能となります。

オーディオインターフェイスの必要性

ここまで読んで「オーディオインターフェイスは必ず必要なの?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、USB 接続や Bluetooth タイプのマイクやスピーカーを使用すれば、オーディオインターフェイスを使用せずとも、DAW に歌を取り込んだり、スピーカーを接続することが可能です。
はじめはこのようなオーディオインターフェイスを必要としない製品を活用するのも良いでしょう。

一方で、より音質にこだわりたい、本格的に音楽制作を行いたいという方は、オーディオインターフェイスが必要です。
その理由として、以下のようなことが挙げられます。

  • オーディオインターフェイスを使用することによって、音楽制作で使用できる機材の幅が増える
  • 同時に複数の楽器を録音できる
  • USB 接続や Bluetooth 接続よりも音を出力する仕組みが優れている場合が多い(=音質が良い)
  • 音楽制作で使用することを想定して作られているため、レコーディング時に役立つ機能が多い

先ほどもお伝えしたように、音楽制作で使用されている多くのオーディオ機器は、パソコンに直接繋ぐことができないため、架け橋となるアイテムであるオーディオインターフェイスが必要です。

また、オーディオインターフェイスは音楽制作で使用することを想定して作られているので、より音楽制作に適した音質や使い勝手を求めることができます。この辺は詳しく説明すると長くなるので、また別の記事でご紹介します。

オーディオインターフェェイスの選び方

この章では、制作環境や使用目的に合ったオーディオインターフェイスの選び方を基本的な仕様の点からご紹介します。

パソコン との接続方法

オーディオインターフェイスと PC の接続規格を確認しましょう。
多くの場合は USB  と Thunderbolt の2パターンが多いです。

近年では USB Type-C コネクタ搭載の PC も増えてきました。もちろん USB Type-C に対応したオーディオインターフェイスもあります。お使いの PC とお目当てのオーディオインターフェイスの接続規格が異なる場合でも、変換プラグを使用すれば接続することが可能です。

システム要件を確認

システム要件とは、製品が正しく動作するための環境のことです。
要件には、オペレーティングシステムやそのバージョンなどが含まれます。

オーディオインターフェイスの製品によっては Windows、Mac どちらかでしか動作しないというものもあります。近年では両者に対応していることが多いですが、念のため確認をしましょう。

また、iPhone や iPad にも接続したいという方は、iOS や iPadOS にも対応しているかを確認しましょう。

入力数・入力端子

入力端子の種類は、XLR 端子、フォン端子、コンボジャックがあります。

XLR 端子はマイク、フォン端子はギターやベースなどの楽器を繋ぐことができます。また、コンボジャックは XLR 端子とフォン端子どちらも挿すことができる端子です。

それぞれ使用するに当たって必要な数の端子が搭載されているかを確認しましょう。

Hi-Z( INST )対応か

Hi-Z とは、エレキギターやエレキベースなどのインピーダンスが高い楽器を繋いで音を取り込む時に使用する、ハイインピーダンス入力端子のことです。
インピーダンスとは、電気抵抗のことで、単位は「 Ω(オーム)」です。この値が大きいと電気が流れにくいという特徴があります。

楽器を入力する際、出力側のインピーダンスの値が入力側よりも上回らないようにする必要があり、この考え方を「ロー出しハイ受け」と呼びます。

イメージとしては、よく水が流れるホースに例えると分かりやすいです。水の流れるホースを別のホースへ繋ごうと思った時、太いホースから細いホースでは水が一部溢れてしまいますよね。一方で、細いホースから太いホースに繋げば、水を全て受けることができます。
入力側のインピーダンスの方が低い場合、音は綺麗に録ることができません。

少し難しい話ではありますが、はじめの段階では、「 Hi-Z があることによってエレキギターやエレキベースで良い音が取れる」のように考えれば良いでしょう。

ループバック機能がついている

ループバック機能とは、PC から出力( OUT )される音を、入力( INPUT )に送る機能です。
通常、PC 内の音はスピーカーに出力されるように設定されています。そのため、別のソフトウェアやアプリへの入力はできません。

ループバック機能を使用すれば、PC 内の音を入力に送ってくれるので、PC 内の音と合わせて配信などが行えます。
例えば、Youtube などで流す音源に合わせて歌を歌って配信したい時や、雑談中の BGM 、またスカイプや ZOOM でパソコン上の音も相手に届けたい時に役立つ機能です。

ダイレクトモニタリング

ダイレクトモニタリングとは、音の返し(モニタリング)の遅延を軽減するために搭載されている機能です。

レコーディングをする時、通常は演奏している音や、歌っている声をヘッドフォンに返しながらプレイします。その際、ダイレクトモニタリングが搭載されていないオーディオインターフェイスの場合、少なからず返ってくる音に遅延が発生してしまいます。これは、一度パソコンに取り込まれてから音を返していることが原因です。

モニタリングの遅延が発生すると、自分が実際に発している音よりもズレて聞こえてくるため、演奏や歌唱に支障が出てしまいます。

ダイレクトモニタリングが搭載されているオーディオインターフェイスの場合、パソコンに取り込む前の段階でオーディオインターフェイスが入力信号をそのままモニターに送ってくれるので、レイテンシーを限りなく小さくすることができます。

マイクプリアンプの性能

マイクプリアンプは、マイクからの音声信号を増幅するための装置です。
通常、マイクで拾われた音声信号は微弱なものなので、そのままでは適切な音量になりません。ここで、プリアンプを介することで、マイクからの音の入力レベルを引き上げることが可能です。

オーディオインターフェイスにはマイクプリアンプが搭載されており、このプリアンプが音源の品質に影響を与えます。
そのため、どのようなマイクプリアンプを使用しているかは、オーディオインターフェイスを選択する際の重要な指標の一つになります。

その製品の特徴から選ぶ

上記でご紹介した基本的な仕様に加えて、オーディオインターフェイスには製品によって、様々な機能や特徴を持ちます。
例えば、DSP が搭載されているもの、ミキサーが搭載されているもの、エフェクトがついてくるもの、サンプリングレートやビットレートの高いものなど....。

次の章では、製品の特徴を踏まえて、おすすめのオーディオインターフェイスをご紹介いたします!

初心者におすすめの機種3選

今回は初めての1台を想定して、比較的汎用性のある以下の条件のものに限定してセレクトしています。

  • 基本的な機能が備わっている
  • 入力数が2つ

前項でオーディオインターフェイスの選び方についてご紹介した基本的な仕様や製品独自の特徴を合わせてご紹介いたしますので、ぜひご参考にしてください。

Scarlett 2i2(gen. 4)/ Focusrite

引用:Scarlett 2i2|Focusrite

  • 価格:約3万円程度
  • 対応OS:Mac OS10.12以降、Windows 10以降
  • 入力数:コンボジャック2、フォン2
  • Hi-Z:あり
  • ダイレクトモニタリング:あり
  • ループバック機能:あり
  • その他特徴:AIR モード、オートゲイン

こちらの「 Scarlett 」シリーズは、オーディオインターフェイスの定番モデルで、今回ご紹介するのは Scarlett 2i2 はその第四世代です。

初心者におすすめの理由として、使用者が多い定番シリーズであること、また GAIN ノブ周りの LED が入力レベルに応じて点灯したり、オートゲインモード(注1)が搭載されているため、入力レベルの調整がしやすいといった点が挙げられます。

その他にも、Focusrite 社の看板商品の一つである「 ISA 」というマイクプリアンプのモデリングした『 AIRモード』という機能が搭載されており、録り音の良さにも期待ができます。

(注1)オートゲイン・・・一度演奏することによって、機械が適切な入力レベルを予想してゲインを調整してくれる機能

evo4 / AUDIENT


引用:EVO 4 Audio Interface - Make great recordings effortless|evo.audio

  • 価格:2万円程度
  • 対応OS:mac OS 13.X(Ventura)以降、Windows 10以降、iOS
  • 入力数:2(コンボジャック)1(フォン)
  • Hi-Z:あり
  • ダイレクトモニタリング:あり
  • ループバック機能:あり
  • その他特徴:オートゲイン

evo4 は、約30年の歴史を持つイギリスのメーカー、AUDIENT 社が発売するオーディオインターフェイスです。

手のひらサイズのコンパクトさで、持ち運びも楽なのがメリットです。家で音が出せない方でもリハスタに持ち込んでレコーディングするなどのように活用できます。

また、こちらの製品にはスマートゲイン(注2)機能が搭載されているため、レコーディング慣れしていない方も安心です。

その価格と見た目のコンパクトさをさることながら、音質にも定評があります。
ループバック機能も搭載しているため、多方面で活躍できるバランスの良い機器です。

(注2)スマートゲイン・・・一度演奏することによって、機械が適切な入力レベルを予想してゲインを調整してくれる機能。Scarlett 2i2 におけるオートゲインのような機能ですが、メーカーによって呼び名が異なる場合があります。

Volt 2/ Universal Audio

引用:Volt 2 - Universal Audio|Hook up inc.

  • 価格:約3万円程度
  • 対応OS:Windows 10 、macOS 10.14 Mojave 以降、iPadOS / iOS 14 以降
  • 入力数:コンボジャック2、フォン1
  • Hi-Z:あり
  • ダイレクトモニタリング:あり
  • ループバック機能:なし
  • その他特徴:アナログ回路を使用したマイクプリアンプ

Volt USB Audio Interfaces は、音楽機器やプラグインを提供する老舗メーカーの Universal Audio 社が製造・販売しているオーディオインターフェイスです。

現在 Universal Audio 社から発売されているオーディオインターフェイスは「 Apollo 」シリーズと、今回ご紹介する「 Volt 」シリーズの2種類あります。

それぞれ良さがありますが、「 Apollo 」シリーズは最も手頃なものでも7万円程度からと、その価格帯は初心者にはなかなか手の届きにくいものです。こちらはプロの制作現場の定番品です。

2022 年に発売された Volt シリーズは、2万円程度から購入可能で、初心者にも手の届きやすい価格帯です。
Volt シリーズの特徴として、アナログ回路を使用したマイクプリアンプである「ビンテージ・マイク・プリアンプ・モード」が搭載されている点が挙げられます。
Universal Audio 社の 銘機である実機のプリアンプ「 LA-610 MkII  610 」が持つサウンドを再現しています。

ブランドの信頼、サウンド面ともに定評のある製品で、初心者にもおすすめしたい商品です。


まとめ

以上、今回はオーディオインターフェイスについてご紹介しました。
初心者の方にとって、オーディオインターフェイスは少し分かりにくい機材だと思います。

筆者もはじめの頃は専門用語がよく分からず、知り合いにおすすめされたものを何も理解せずに購入していました。

正しい知識をつけることで、自分の使い方、好みにあったオーディオインターフェイスを選択することができます。

ぜひこちらの記事をご参考にして、オーディオインターフェイス選びをしてみてください。

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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