音楽に関わる仕事の1つに、レコーディングエンジニアという職種があります。音楽制作において、録音やミックスダウン、マスタリングなど、音響技術に関する作業を行う専門家です。具体的には、音声・音響機器の設定や操作、楽器のマイクロフォンの配置、エフェクトの設定などを行い、音楽制作において重要な役割を果たします。
レコーディングエンジニアの仕事内容
レコーディングエンジニアの仕事は、大きく3つのフェーズに分けられます。
1.レコーディング環境の準備
レコーディングエンジニアは、事前にレコーディングを行うスタジオの機材を把握し、プロジェクトごとに必要な機材の手配を行います。
当日スタジオに入ったらまずスタジオの設備と事前に手配しておいた機材を確認し、マイクやミキサー、コンピューターなどの機器をセットアップする作業をアシスタントと行います。そして、アーティストが来る前には音響設定やマイクのセッティングなど、細かい調整を行っておきます。
2.演奏や歌唱の録音
レコーディングエンジニアは、その名の通り、スタジオでの録音を担当します。
本番テイクを録り始める前に、ミュージシャンに音を出して(歌唱の場合は歌声を出して)もらい、その時最も最適なマイクセッティングや、ゲイン調整、エフェクトの設定などを行い、プロデューサーやディレクター、アーティストとコミュニケーションを取りながら録音する音を決めていきます。
また、演者(歌唱者)の返し(モニター)の調整を行い、ディレクターやプロデューサーの指示に従って高品質なテイクを録音します。良いテイクが取れたら一つ一つ全員で確認し、録り残しがないよう全ての必要なテイクを録音していきます。
3.ミックスダウンに向けたテイクの編集作業
全てのテイクの録音が終わった後、各トラック音源の不要な部分を編集し、ミックスダウンのためのファイル整理を行います。編集では、曲の長さやテンポがずれていないかを確認しながら、最終的に繋ぎ目のないトラック別の音源データを作成します。レコーディングエンジニアとしての作業はここまでとなりますが、この後の制作工程としてはミックスダウンとマスタリングがあります。
ミックスダウンでは、各トラック音源のバランスをとり、エフェクトの調整などを行いながら楽曲として作り上げていきます。
マスタリングでは、音源の音圧を調整し、最終的な音質の調整を行います。最終的な音源のクオリティを高めるために欠かせない作業と言えます。この工程はマスタリングエンジニアという専門家に任せることも多いです。
必要なスキルや知識
レコーディングエンジニアは、録音から編集にかけて技術的な調整という重要な役割を担います。
次に、レコーディングエンジニアに求められる技術や知識をご紹介します。
録音技術
レコーディングエンジニアは、音楽の録音技術を熟知している必要があります。音声入力から録音、マスタリングまでの全プロセスを理解し、録音時に出る音の質を熟知することが重要です。このため、まずは録音技術の基礎的な知識や、機材の使い方を学ぶことから始め、発展的な録音技術を学び続ける必要があります。
音響やソフトウェアの知識
高品質な音を録音し編集するためには、音響機器やソフトウェアの知識が必要です。マイクロフォンの種類、ミキサーの操作方法、DAWソフトウェアの使い方、エフェクトの種類や使い方などに精通する必要があります。また、スタジオの大きさや形によってどのように音が響くのかも計算し、機材の設定を行うことが求められるため、音響の知識も必須となります。
楽器や音楽理論の知識
音楽制作のエンジニアとして、音楽についての知識が必要なのは言うまでもありません。楽器の種類や演奏技術、音楽理論の基礎などを学ぶことだけでなく、幅広い音楽に触れて、演奏技術や流行などを理解しておくことをお勧めします。楽器の種類によって、音の帯域は異なるため、これらを熟知していることがミックスダウンにも大きく影響します。エンジニアとしての専門的な見解をもつことで、アーティストやミュージシャン、プロデューサーから頼られるエンジニアとしてのスキルを提供することができます。
コミュニケーション能力
レコーディングエンジニアには、コミュニケーション能力が必要不可欠です。なぜなら、対話を重ね、音楽に対するアーティストやミュージシャンの思いを理解し、録音に反映させることが求められるからです。レコーディングエンジニアに限らず、制作現場で働く人にはコミュニケーション能力が必須と言えるでしょう。
様々なレコーディング経験
レコーディングエンジニアとして活躍するには、様々な音楽ジャンルのレコーディング経験を積んでいくことが、エンジニアとしての感性に磨きをかけていくことにつながります。実際にレコーディングを行って録音技術や音響機器の知識を増やすことはさながら、さまざまなジャンルの音楽のレコーディングを経験することで、音作りのための引き出しが増え、アーティストと共に新しい音を生み出すことができます。
まとめ
以上、レコーディングエンジニアの仕事内容や、必要なスキルや知識について詳しく解説しました。レコーディングエンジニアは、音楽制作の現場で最先端の音楽に触れる分、アーティストや音楽プロデューサーから信頼を得られるだけのスキルが必要です。音についての深い技術と知識、プロフェッショナルとしての振る舞いを追求し続ける姿勢が大切でしょう。
また、本記事の次のステップとして、レコーディングエンジニアになる方法や、そのステップ、レコーディングエンジニアに関する資格、仕事を増やす方法などについて詳しく解説している記事をご紹介します。ぜひご参照ください。
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5歳の頃にピアノを始め、鍵盤や打楽器に触れる。 学生時代はヒットチャートを中心に音楽を聴いてきたが、 高校生の頃にラジオ番組を聴くのが習慣になり、 次第にジャンルを問わず音楽への興味を持つようになる。 野外フェスや音楽イベントへ通い、ライブの持つパワーや生音の素晴らしさを実感。 現在はピアノと合わせてウクレレを練習している。 弾き語りが出来るようになるのが目下の目標。
Masato Tashiro
プロフェッショナルとして音楽業界に20年のキャリアを持ち、ライブハウスの店長経験を経て、 2004年にavexに転職。以降、マネージャーとして、アーティストに関わる様々なプロフェッショナルとの業務をこなし、 音楽/映像/ライブ/イベントなどの企画制作、マーケティング戦略など、 音楽業界における様々な制作プロセスに精通している。 現在はコンサルタントとして様々なプロジェクトのサポートを行っている。